2009年01月27日

狂言誘拐の行方は?−−−「ゲームの名は誘拐」by東野圭吾

「探偵ガリレオ」「手紙」の作者である東野圭吾の作品。そのどちらとも違う楽しみ方のできるミステリーに仕上がっていた。

敏腕広告プランナー・佐久間は、自信作のプロジェクトを顧客会社の重役の一声で突然潰された。「犯人」は、アメリカ帰りの新副社長・葛城である。その葛城邸に出向いた彼は、塀を乗り越えて家出してきた葛城の娘と出会う。
佐久間は“ゲームの達人”を自称する葛城副社長に対して、娘を人質にした狂言誘拐で挑む。

狂言誘拐が、徹底的に犯人側の視点だけで描かれていく。警察が動いているかどうかもわからない。一見不可解な葛城の行動。そんな状況で、佐久間は、警察の動きを予想し、先手を打って完璧な計画を立てて実行していく。佐久間vs.葛城(vs.警察)。

作者の東野圭吾は、「善人が出てこない物語を作りたかった」と言っているそうだが、佐久間、葛城の娘、葛城のそれぞれのキャラクターが生きている。

章立てなし(一応1,2,3,・・・の区切りはあるので、息継ぎ休憩は可能)のノンストップ・ミステリー。一気に読んで楽しめる文庫本332ページ。


続きを読む
posted by shirube's BLOG @seesaa at 23:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本との出会い

2009年01月18日

もしもあなたが猫だったら?

[目次]
まえがき−−思考実験って何なの?
第1日 もしもあなたが猫だったら?
第2日 もしも重力がちょっぴりだけ強かったら
第3日 もしもプラトンが正しかったら
第4日 もしもテレポーテーションされてしまったら
第5日 もしも仮面をつけることができたら
第6日 もしも小悪魔がいたならば
第7日 もしもアインシュタインが正しかったならば
あとがき−−リアルな世界の脆弱さ


「思考実験」=脳内シミュレーションのすすめ−−科学的推論だけを根拠に思考を羽ばたかせ今までとは違う世界を見る。
章立てではなくて、第1日、第2日と日数で各章を区分けしているのは、順番に読む必要がないから。でも、日を追うごとに難しい話になるので、順番に読むほうが読みやすい。

「第1日 もしもあなたが猫だったら?」がとにかく面白かった。このタイトルからでは、何の話かさっぱりわからないが、「色」の話である。
赤い光と緑の光を混ぜると黄色に見えるというのは、単に人間の視覚能力の問題でいわば錯覚ともいえるというのだ。確かに、波長700mm前後の赤と波長500-565mmの緑を混ぜて波長580mmの黄色になるのは不思議だ。2つの波長の波を混ぜてもその中間の波長になるわけではなく、そのまま2つの波長の波が混在しているだけのはずだ。
錐体細胞というのが色を反応しているのだそうだ。人間には波長424/530/560mm(紫-藍/
緑/緑-黄)に反応する錐体細胞があるのだが、530/560mmが近いのが問題であり、緑と赤の混合光は、単色の黄色と区別できないのだそうだ。
一方鳥の錐体細胞は、波長370/445/508/565mmの4箇所に反応する「4原色」の視覚なのだそうだ。だから、混ざった色を見分ける力がある鳥が人間が描いた絵を見たらかなり変に見えるはず−−「色音痴のわけのわからない絵」−−だと推察していく。
さらに、色認識の話から、動体視力や絶対音感・嗅覚の話、さらには次元の話にまで発展し、非常に興味深かったし、考えさせられるものがあった。

続きを読む
posted by shirube's BLOG @seesaa at 16:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本との出会い

2009年01月10日

地獄のババぬき

夜行バスのバスジャック事件に巻き込まれてしまった主人公2人。バス車内では、犯人の命令により、命を堵けた“地獄のババぬき”が始まる。敗者には死が待っている。
さらにその親友も、深夜タクシーに乗っているところを襲われ、バスジャック事件に巻き込まれる。

バスジャック事件に登場する乗客の人物設定がいかにも小説的・劇的・漫画的で面白い。占い師・マジシャン・大泥棒・賭博王・殺人鬼・深層心理に詳しい女子大生・etc. 彼らが、心理面の駆け引きやマジックテクニック、「透視能力」や超抜群の動体視力を駆使して、トランプゲームのばば抜きを行う。ばば抜きがこんなに興奮するゲームだったのかと驚いた。

続きを読む
posted by shirube's BLOG @seesaa at 18:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本との出会い

2009年01月07日

「交渉人」

[目次]
プロローグ
1章 事件
2章 交渉
3章 追跡
4章 真実

3人組のコンビニ強盗が、総合病院に逃げ込んで、病院内の患者・医師・看護師50人を人質にして立てこもった。犯人と対峙するのは「交渉人」石田警視正。石田は見事な話題展開で、"思い通りに"犯人を誘導・懐柔していく。そして、解決間近と思われた時、事件は急転換する。

事件-交渉−追跡-真実と続く章立て毎に、大きな展開があって、それぞれにちょっとした短編として楽しめる感じ。見事な起承転結の流れになっている。
提示されているヒントをしっかり読んでいくと、ある程度の予想はできるが、私はひとつまんまと作者の罠にはまった。大きな「トリック」を見抜いたか見抜かなかったかでは、1勝1敗だったかな。まあ、それだけに楽しめたと言える。

とにかく文庫本445ページを一気読みする面白さだった。

続きを読む
posted by shirube's BLOG @seesaa at 21:45 | Comment(0) | TrackBack(1) | 本との出会い
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。