2009年02月26日

江戸の歴史の意外な論説

[目次]
はじめに
第1章 誰も書かない女将軍・家重
第2章 虚像と密約だらけの徳川家康
第3章 世を揺るがした大事件の真相
第4章 大名たちの七転八倒
第5章 混乱と動乱―幕末の真相

1冊まるごとで「九代将軍は女だった」と説く本だと思って読み出したが、目次の通り、全5章のうちの第1章のみが家重は女将軍だったのではないかという話だった(52ページ/全200ページ)。しかし、解剖学や文献学その他のデータを用いての論はすこぶる興味深かった。「徳川幕府が隠蔽していた驚愕の史実」が楽しく読めた。

副題の「平成になって覆された江戸の歴史」は、「九代将軍は女だった」を言い換えたのではなく、これこそこの本の全体の内容を示す真の題名ということのようだ。

第2章は家康がらみの話で、通常の「日本史」ではあまり語られない人物が登場して面白かった。3代将軍が家光になった事情なんてのも面白い。

第3章は忠臣蔵や大塩平八郎の乱などの大事件の「真相」。「不通」という言葉の意味を知った。戦国時代から引きずる大名間の代代の冷戦状態のことだそうで、ロミオとジュリエット以上に家と家の対立が大変そうだ。

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2009年02月21日

「変身」 by 東野圭吾


世界初の脳移植手術というのを題材にしたメディカル・サスペンス・ミステリー。脳移植を受けた男の自己崩壊の悲劇。

それまで画家を夢見ながら優しい恋人を愛していた工場勤めの平凡な青年・成瀬純一は、ある日突然、拳銃強盗の現場に居合わせて、頭部を銃撃される。
彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。手術成功に喜ぶスタッフ。しかし、純一は手術後徐々に性格が変わっていく自分を自覚する・・・・。

「脳移植手術」っていうのは、脳の持ち主と脳以外の身体の持ち主のどっちがドナー(臓器提供者)でどっちがレシピエント(臓器移植患者)になるんだろう?移植後の意識(記憶その他)はどちらのそれになるんだろうなんて思い、そしてこの主人公への手術は、成瀬純一の身体に誰かの脳が移植されたのか、それとも成瀬純一の脳を誰かの身体に移植したのかなんて疑問に思った−−前者だと銃撃以前の成瀬の記憶があるはずがないし、後者なら頭部を銃撃されたが故の手術だということに矛盾しそうだ−−。

読み進むうちに銃撃のダメージは右脳の一部のみで、脳移植は右脳の一部分に部分的に行われたということで、手術後の成瀬に手術前の成瀬の記憶が残っていることに納得がいく。そして話は、移植された他人の右脳の一部と成瀬本人の脳のせめぎあいになる。

絵が描けなくなる、音に敏感になる、性格が攻撃的になる、・・・徐々に侵略してくるドナーの脳の影響。画材店で働く恋人を愛したいのに愛する気持が消えてゆく…、職場の人間とは軋轢を生む。
「変化」のために勤務ができなくなり、恋人は去る。次第に明らかになりそして広がっていく平凡な男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯!別人になっていく恐怖と戦いながら、純一は自分に移植された悩の持主の正体を突き止めようとする。

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2009年02月17日

タイムスリップ森鴎外

森鴎外が現代の渋谷にタイムスリップして来たことから始まる著者のタイムスリップシリーズの第1作だ。「タイムスリップ釈迦如来」から読み始め、「タイムスリップ明治維新」を読んだ後、ようやく今回第1作を読んだ。「釈迦如来」と「明治維新」では主人公がそれぞれの時代・場所にタイムスリップ&場所移動していたが、この第1作では、主人公の住んでいる渋谷の町が舞台だ。時間移動の方向性が逆なだけで結構話の面白さが異なってくる。

大正11年の渋谷で正体不明の誰かに殺されかけた森鴎外は、死ぬ直前に80年後の渋谷にタイムスリップする。目にするものの異様さに戸惑う鴎外。その鴎外に遭遇し、犯人を見極めて元の時代に帰してあげようと奮闘する主人公とその仲間の高校生たち。

昭和期前半の文学界の謎と意外な犯人。コメディタッチで描かれる昭和史の謎解きが楽しい。
文庫本400ページ弱の分量だが、テンポよく一気に読めた。

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2009年02月13日

解体されるニッポン

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解体されるニッポン (青春新書インテリジェンス)
ベンジャミン・フルフォード
2008/3/15

[目次]
プロローグ ディヴィット・ロックフェラーと対峙した日
第一章 断末魔のアメリカが日本をバラバラにする
第二章 世界を駆けめぐるグローバリズムという疫病
第三章 惜しみなく搾取される日本の労働者たち
第四章 舞台裏でうごめく「闇の権力者」の実態
第五章 アメリカが仕組んできた「自作自演」の歴史
第六章 誰がアジアの分裂を目論んでいるのか
エピローグ いま日本は国家衰退の瀬戸際にいる

表紙の下部「帯」のようなデザインの部分に、「広がる格差、年金問題、放置される地方…誰がこの国を弱体化させているのか。?」と書かれている。答えは、アメリカ・・・・というのがこの本の主張である。
バラバラに解体されつつあるこの国でいま問題となっていることの裏には、日本の勢力が弱くなることを望んでいる大きな力・知られざる闇が存在すると告発する。

本書の前半は、経済格差問題などの話。格差問題と小泉首相−竹中平蔵コンビと経済学、アメリカの世界経済戦略のなかでの日本などが語られていく。現在の日本の状況の分析と、これからの見通しについて、フムフムという感じで読んだ。

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2009年02月12日

進化するグーグル

[目次]
まえがき
第1章 月探索まで手を広げる“ネットの覇者”
第2章 “技術者の理想郷”はいかにして生まれたか
第3章 世界でもっとも楽しい職場
第4章 “ひとり勝ち”の真の理由
第5章 グーグルが創り出す“新しい日常”
第6章 日本で苦戦するグーグルの巻き返し策
付章 戦略的サービス展開、8つの方向性
あとがき

YouTube、GoogleEarth、ストリートビュー、その他の斬新なサービスを生み続けているグーグルの最近の動向の詳細が書かれている。

以前、佐々木俊尚著の「グーグル―Google」を読んだときは、グーグルはすごいと思うとともに、少し恐いなとも思った。
しかし、この本を読むと、グーグルに対して非常に楽観的気分になる。この本は、グーグルを信頼しきっていて、徹頭徹尾グーグルを礼賛している本である。

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2009年02月11日

無宗教こそ日本人の宗教である

[目次]
序章 「無宗教」は恥ではない!
第一章 日本人は本当に「無宗教」と思っているのか?
第二章 日本人はなぜ「無宗教」なのか?
第三章 日本人はどうやって「無宗教」に至ったのか?
第四章 日本人はなぜ「無」に惹かれるのか?
第五章 「無宗教」は世界で大きな価値がある
第六章 世界の宗教も実は「無宗教」である
第七章 「無宗教」が世界を救う
補章 JUniverse(ジュニヴァース)の未来


タイトルに魅かれて読み始めたが、なかなか面白い本だった。
あなたは宗教を信じますか?-無宗教には複雑な気持ちが込められている、....から始まる新書183ページ、すらすらと読んでしまった。

日本人の宗教を「無宗教」から考えていく本だが、「無宗教」の捕らえ方が面白い。日本人が「無宗教」というとき、それは特定の宗教・教団・宗派に属さないという気持ちの表れだったり、毎日のお祈りというような日常的な信仰活動をしていないという意味であったりすることが多いらしい。新興宗教教団やイスラム過激派のテロへの反発から、そのような事件の直後には「無宗教」を標榜する人が増えるらしい。

ある調査では、信仰・信心とかを持っていますかという問いに否を答えた日本人は約70%。一方、世界11カ国(日本を含まず)での調査では神を信じると答えた人が全体の9割で、国別に見ても、低い国でさえ7割前後だったという。そして、西欧において若者が信仰に熱心でないことをを除けば、老若による差はあまりないという。

しかし一方で、初詣に行く人は73%、盆や彼岸に墓参りをする人は78%という日本人における調査結果もある。成田山新勝寺には年間1000万人を超え、これは数値的にはバチカンやメッカへの参拝者数をはるかに超える世界最大の聖地を示しているという。

神社に初詣しで、キリスト教式で結婚したりクリスマスを祝い(騒ぎ?)、仏教式で葬る。その一貫性のなさに、日本人の多くは、自分は宗教にいい加減だと思っている。しかしそうではないと説く。むしろ、日本人は宗教にとても熱心なのだともいう。

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2009年02月08日

TVJ

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TVJ (文春文庫)
五十嵐 貴久

[目次]
プロローグ
Part 1 TV JAPAN
Part 2 TV Jack
Part 3 TV JUNGLE
Part 4 TV JOKER
エピローグ

25階建ツインタワーの片側1棟であるゴールドタワー全部を占有するTVジャパンが72時間特別生番組の最中に、正体不明のグループに乗っ取られた。人質をとって24階に立てこもる一見"軍人"の犯人たち。
タワーの全制御はコンピュータルームで集中管理されており、乗っ取り犯によって、エレベータは完全ストップし、非常階段は19/20階と9/10階の各中間にある防火シャッターで遮断された。高層階は完全に密室化した。

TV中継という手段で、犯人たちは原発の停止などという要求を次々と突きつけてくる。犯人側の正体も真の狙いも把握できぬまま、高層タワーという密室での劇場型犯罪に対してなす術もなく翻弄される警察。

偶然の事故によって人質から脱落した女子経理部社員が、人質になった自分の恋人を救おうと孤軍奮闘する。

『交渉人』『交渉人 遠野麻衣子・最後の事件』の著者・五十嵐貴久による「著者の全てが詰まった幻のデビュー作」という触れ込みに納得・満足する逸品。「交渉人」は刑事を主人公にする推理サスペンスだったが、こちらはむしろハチャメチャ系アクション物で、一般人が主人公で汗握る活躍をする。

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2009年02月05日

『交渉人』の続編も面白い

[目次]
第1章 爆破
第2章 捜査
第3章 殺害
第4章 混乱
第5章 決着
終章


交渉人 遠野麻衣子の活躍を描く『交渉人』の第二弾!
前回は病院立てこもりの人質事件だったが、今回は都内の各所で爆弾事件が発生する都市テロ事件。不眠不休で交渉にあたる交渉人の4日間を描く読み始めたら止められない400ページのサスペンス。

面白かった。でも、「交渉」って言う意味では丁丁発止のやりとりがあるわけではないので、ちょっとうっちゃりを食らった感じもする。とは言え、タイトルを気にして交渉術がどうこうという観点では見ないで、あくまでこれからどう展開するのかという興味で話を追う分にはとにかく楽しめる。

犯人の一人はほぼ最初からわかっているが、もう一人が何者なのかは不明。その何者かがわかる終盤がかなり面白かった。交渉人・遠野麻衣子が二人目の犯人を逮捕するにあたり、次の爆弾設置場所と爆破予定時刻での犯人の所在地を推理するのだが、この二つの場所は推理力のある人なら確実に推理できる設定になっているのだが、ウーン思いつかなかった。どっちも知っている場所だったのになあ・・・・。

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