[目次]
第1章 裁判員制度とは何か
第2章 裁判への市民参加とは何か
第3章 なぜ陪審精度ではなく、裁判員制度なのか
第4章 裁判員制度の具体的制度設計
第5章 裁判員に向いていないと思う人に
先日、裁判員制度に対し批判的な本を読んだので、今度は推進派サイドの本を読んでみようと思い、紹介されている本のリストから、この本を読んでみた。
本書を読んでも、その初めの方では著者の立場が明確ではない。裁判員制度に賛成なのか反対なのか、批判的に見せておいて賛同に導こうとしているのか、単純に本人にも迷いがあるのか、その辺が分かりにくくて、読んでいてちょっとイライラした。
でも、最後まで読んでいくと立場は明確になる。「裁判員制度の正体 (講談社現代新書)」の巻末に書いてあったように、どうやら一応は制度推進派のようだ。でも、裁判員制度を良い制度と思っているというよりは、現状から陪審制度へと移行するための過度期的なものとしてこの制度の役割を見ているようだ。
参審制(フランスやドイツなど)と陪審制(アメリカやイギリス)との最も明確な違いは、裁判官が有罪無罪の判断に関わるか否かという点と、一般人(参審員/陪審員)が量刑も判断するか否かという点にあると思う。他にも人数の違いや任期の違いや多数決で決めるか全員一致で決めるかと言う点の違いなどもあるけれど、本質的なのは初めにあげた2点だろう。
参審員/陪審員の人数は国によって異なるが、概ね参審員人数<陪審員人数の傾向があるようだ。何故なんだろう?
私は、制度見直しの場では、陪審員制度(A)・参審員制度(B)・裁判官のみの裁判制度(C)を考えた時、A&BvsCという対立関係が大きいのだろうと思っていたが、実際はAvsB&Cという対立だったようで、そのAとB&Cの中間的な折衷案的に今回の裁判員制度になったらしいという経緯に驚いた。
それと、裁判所/裁判官側が制度制定化に抵抗し、弁護士/市民側が推進派であることが多いことにも驚いている。この制度って"国"側が推進していると思っていたのだが....。そして、市民に余計な負担を迫る制度だと思うのだが。
妥協の産物として、「いいとこどり」ならぬ「悪いとこどり」の制度になっていないのかなと不安に思える。
本書では、制度のデメリットをつく疑問への反論も書いてあるが、とても楽観的な話にしかみえない(p.173-181)。けれど、守秘義務関する論(p.182-183)には賛同できた。マスコミの報道規制に関する論は、疑問に対する回答が的外れな話になっている気がした。
日本弁護士連合会が制作した映画「裁判員制度〜決めるのはあなた」というのがあるそうだ。学校や企業に貸し出していると書いてあったが、調べたところでは、私の利用している図書館に、ビデオテープやDVDの形で在庫してはいないようで残念に思った。
